7/17(金) 09:07
バルサの哲学はどこへ
「スター選手を育てることがこのクラブの哲学」
これはバルセローナのジョアン・ラポルタ会長の言葉です。確かに昨シーズン、リオネル・メッシやチャビ、アンドレス・イニエスタらカンテーラ出身選手が活躍したクラブは、スペイン史上初の3冠を達成しました。しかしこの夏、バルサが自分たちの哲学を貫いているように思えないのは、僕だけでしょうか。
バルサは今夏、ダビド・ビージャやディエゴ・フォルランに関心を示しています。昨シーズン、30ゴールを挙げたサミュエル・エトオの去就が不透明なため、その代役として彼らをリストアップしているのならば納得です。しかしラポルタ会長は、「エトオの去就に関係なく、FWを獲得する」と発言しました。
3トップを採用するチームで、エトオとビージャやフォルランに与えられるセンターフォワードの枠は1つ。エトオが残留し、大型FWの獲得に成功した場合、1名はベンチスタートということになります。
僕が心配しているのは、カンテーラが生んだ“至宝”ボージャン・クルキックの処遇です。彼はデビューシーズンに10ゴールを挙げる活躍を披露しました。しかし昨シーズン、同じポジションのエトオが好調だったため、出番が減少。ビージャやフォルランが加入したら、更にピッチに立つ時間は限られるでしょう。
バルサはその他、DFマクスウェルを獲得し、ダビド・シルバやハビエル・マスチェラーノなどにも注目しています。マクスウェルやシルバらと同じポジションで、昨シーズン、トップデビューを果たした優秀な若手を多く抱えているにもかかわらず、です。積極的な補強を進める反面、昨シーズン芽を出したカンテーラの選手たちのチャンスを奪おうとしているバルサ。彼らの哲学はどこへいってしまったのでしょうか。
ちなみに、「なぜバルサが、今夏の移籍市場で活発に動いているのか」については、7月16日に発売された『WSK0806号』のスペイン人記者コラムをご覧ください。
(勝倉/ワールドサッカーキング編集部)