編集部ブログ

3/4(木) 09:32
リスクを伴うプレミア基準
プレミアリーグの魅力は激しさにある。ほとんどの選手がフィジカルコンタクトから逃げることなく、主審も明らかなファウルでないと試合を止めない。そんなところに魅力を感じてファンになった方も多いのではないだろうか。しかし、残念なことにこれを見直すべき時がきたのかもしれない。

27日に行われたプレミアリーグ第28節、ストークvsアーセナルは、3-1でアーセナルが勝利した。直前にチェルシーがマンチェスター・シティーに敗れていたため、トップとの勝ち点差を3にまで縮める重要な白星。だが、一人の若手を襲った衝撃的な悲劇が、選手たちから笑顔を奪った。

事件は、1-1で迎えた65分に起きた。

右サイドでスローインを受けたショウクロスが、ベントナーをかわして敵陣へ進入。すぐさまラムゼイがカバーに入ると、両者激しくぶつかってピッチへ倒れ込んだ。一見、よくある正面衝突のようだったが、キャンベルが「早く手当てに来い」と言わんばかりにベンチを指させば、ファブレガスは今にも泣きだしそうな表情を浮かべている。アーセナルの選手の慌てぶりが示すように、ラムゼイの右足は変形、テレビ局がリプレイを流せないほどの大けがを負った。

主審を務めたウォルトンは、序盤から細かいファウルを取るより、流れを止めないようにプレミアらしいホイッスルを吹いていた。負傷する前のラムゼイも、48分にペナルティエリア内でAb・ファイェに倒されたが、PK獲得とはならず。あの場面でラムゼイは、ウォルトンのファウルの基準を自分なりに理解し、その結果、ショウクロスへ激しく当たりに行ったように見える。「悪意はなかった。重症を負わせてしまって動揺している」と涙を流すショウクロスの発言に疑いの余地はない。プレミア基準で見れば、今回の事件は誰も責めることができないのだ。

だからこそ、この問題は深刻と言える。07-08シーズン、同じくアーセナルのエドゥアルドが足首骨折の大けがを負ってからたった2年。これほど短い期間に新たな重傷者が出てしまうようでは、ホイッスルの吹き方を考え直せという声も出てくるだろう。確かに、今の基準は他国リーグにはない激しさを生み出してきたが、大きな危険を伴うことは事実。一人のプレミアファンとしては、「これもイングランドサッカーだ。リスクを受け入れてこそファンを魅了できる」などと思ってしまうのだが……。読者の皆さんはどのようにお考えだろうか。

(小松/ワールドサッカーキング編集部)