3/26(金) 09:30
「責任」が人を変えた
人は責任を与えられた時、二通りのタイプに分かれることが多い。一方は委縮してしまうタイプ、もう一方は能力を更に発揮するタイプだ。サッカー界ではプレッシャーに押しつぶされてしまう選手も少なくないだけに、後者のタイプは非常に貴重。恐らくフィオレンティーナの新キャプテンは、これに当たる。
20日に行われたセリエA第29節、フィオレンティーナvsジェノアは、3-0でフィオレンティーナが勝利した。前半5分にゴッビのクロスからサンターナのヒールシュートで先制したフィオレンティーナは、後半にリズムを崩す時間帯もあったが、最終的には17歳の新鋭ババカルのセリエA初ゴールなどを上乗せして快勝。反撃もすべてシャットアウトし、14試合ぶりに無失点で終えた。
この快勝劇の立役者として、モントリーヴォを見逃すことは出来ない。今年1月にダイネッリのアームバンドを引き継いだ新キャプテンは、序盤から絶妙なポジショニングで中盤を制圧。攻撃においては正確なミドルパスでジラルディーノやパスクアルの動きを引き出し、守備に転じれば素早く戻ってボールを奪い取った。更に、持ち前のテクニックを生かした魅せるプレーも随所で光り、38分にはリフティングで頭越しにミラネットをかわしてティフォージを沸かせた。
2010年に入ってからこのレベルの活躍がアベレージとなりつつあるモントリーヴォだが、ほんの少し前までは波のある選手だった。言うなれば「どんな相手にも通用するテクニックはあるのに生かし切れていない」。そんな彼の動きが、キャプテン就任とともに変わろうとしている。フィオレンティーナという名門を率いる責任を与えられたことで、明らかにプレーぶりが変化したのだ。
振り返れば昨年1月、プランデッリは言っていた。
「モントリーヴォは近い将来、フィオレンティーナで最も重要な選手に成長するだろう」
あれから1年3ヵ月、知将の期待はいよいよ現実のものとなりつつある。モントリーヴォが今の調子を維持出来れば、6月にワールドカップの舞台に立っている可能性も大いにあるだろう。今後も彼の動向に要注目だ。
(小松/ワールドサッカーキング編集部)