編集部ブログ

2/16(水) 03:27
エリックとエリックと、時々、自分
色々な事情が絡まって落ち込んでいた気持ちを知ってか知らずか、大学時代の友人が映画へと誘ってくれた先週末。何を見るか知らされないままついて行ったのだが、友人がマンチェスター・Uのマフラーと長袖ユニフォームを着けていた時点で気が付くべきだった。待ち受けていた映画は『エリックを探して』。元フランス代表でマンチェスター・Uなどで活躍し“キング”の愛称で親しまれたエリック・カントナが本人役として出演している作品だ。
映画内には、主人公の冴えない郵便局員エリックとカントナの掛け合いに呼応して、カントナのゴールやスーパープレーの数々が当時の映像のまま登場する。そのすべてが衝撃だった。伝統の背番号7を背に、襟を立たせ、仁王立ちし、キッと何かを見据えている。何と威厳に満ちた姿なのだろう。だが、そんな彼でさえオールドトラッフォードで試合をすることに怖さがあったという。「数万という観客を満足させられるのか」という自分自身への恐れ。彼は「練習中毒」と呼ばれるほどトレーニングに熱心だったことで有名だが、その背景にはこの「恐れ」があったのだ。アレックス・ファーガソンもこう言っている。「カントナには数え切れない欠点がある。しかし、彼がクラブにもたらした最大の功績は、完璧を目指すならトレーニングをおろそかにするなということを分からせてくれたことだ」。
ノミの心臓を装備する自分が同じ舞台に立ったとしたら……。想像しただけで気が遠くなる。でも少しした後で、誌面制作の向こう側には数万人の読者がいるという、絶対に忘れてはならないことを考えた(もちろんビビッた)。シチュエーションは違えど、見られている恐れと常に戦わなければならないのはカントナは自分も同じだ!
というわけで、「もっと貪欲に知識をためなければ」と一層の努力を誓った日曜日。ノミの心臓な上に健康診断の結果、不整脈の疑いもある新人編集部員は、身体に気を付けながら奮闘中であります!!
ちなみに、第59回カンヌ国際映画祭でバルムドールを受賞した『麦の穂をゆらす風』のケン・ローチが監督を務めていることもあって、『エリックを探して』は内容も面白い。笑わせて、考えさせて、感動させてくれる作品なので、見に行って損はないですよ!!
(古田土/ワールドサッカーキング編集部)