編集部ブログ

12/22(木) 07:09
若者にチャンスを!インテル元GMの告発
インテル/年俸削減と世代交代

■若手は“救いの神”になるはず

 2010年7月、ガブリエレ・オリアーリはインテルを追い出された。

ジョゼ・モウリーニョがレアル・マドリーに行くという決断を下したことで、“モウリーニョ派”だったオリアーリは居場所を失ったのだ。

それから16カ月後、彼は沈黙を破った。クラブ内の政争について言及したくはないが、低迷を続けるチームをこれ以上は見ていられなかったということだろう。

「モウリーニョが去った後、会長はブランカとその周辺の人間の意見にしか耳を貸さなくなった。彼らは私を外すように進言し、会長はその通りにした。1年半の間に4人の監督にチームを委ねたことは、時間と金の無駄でしかない。そして、インテルの将来を任せるに足る若手を流出させている」

 また彼は、モウリーニョが退任する前にモラッティとの間にあった会談の一部を明かした。“スペシャル・ワン”は会長にこう話したそうだ。

「誰が監督をやるとしても、チームの強さを保つには血の入れ替えを行わなければならない。今いる選手はトップレベルの選手ばかりだが、もっと若くて、ハングリー精神を持った人材が必要だ」

 ベニーテスはそのために招かれた指揮官だったはずだが、若手を重用するチーム作りを宣言した時点で“トップレベルの選手たち”に造反され、クリスマスを待たずしてチームを去った。

その後、監督が何度交代しても、スタメンの半数は相変わらずの“アンタッチャブル”である。

 アンドレア・ラノッキアとジャンパオロ・パッツィーニを除けば、インテルはビッグネームを獲得していない。

“ほどほどの選手”の獲得はすなわち、下部組織出身の優れた人材の犠牲を意味する。

インテルは大きな赤字を抱えると同時に、高齢化に頭を悩ませてもいる。本来なら下部組織出身の若手は“救いの神”になるはずだ。しかも、インテルの下部組織はカルチョ・スキャンダル以後の5年間で目覚しい成績を残し、その中で多くのタレントを生み出している。モラッティとブランカはそのことを理解しているだろうか?

 マリオ・バロテッリは2180万ユーロ(約22億円)で、ダヴィデ・サントンは600万ユーロ(約6億円)で放出された。オリアーリがGMだったら、こんな移籍はあり得なかったはずだ。

バロテッリは悪さばかりしていたが、プレミアリーグで首位を走るマンチェスター・シティーで主力を務め、アッズーリでも不可欠な戦力となっている。少なくとも保有権の半分は残しておくべきだった。

サントンにしても同じ。ジョナタンは「マイコンの後継者」などではないことが明らかになりつつある。長友佑都は安価な即戦力だったが、それでも今後10年のチーム作りを考えた場合、生え抜きのイタリア人であるサントンよりも重要な存在とは言えないだろう。

ブランカ主導のメルカート戦略に疑問を投げかけずにはいられない。

 センターバックのルーカ・カルディローラはこれまでアンダー世代の代表で50試合以上の出場を誇るが、トップチームではベンチにも入れない。主力が故障した際にプレーするのは、35歳のイバン・コルドバである。

クリスティアーノ・ビラーギとマルコ・ファラオーニもアッズリーニではレギュラーだが、インテルのトップチームでまともに扱われていない。確実に素質を開花させているこの若手たちを起用すれば、インテルは余計な買い物をすることなく、チームを強化できるはずだ。だが、そのためには彼らを信頼することが大前提となる。

 オリアーリの告発により、インテリスタはフロントへの不信感を強めている。

“強いインテル”に慣れた彼らは、まるで10年前に戻ってしまったかのようなフロントの迷走ぶりに彼らの我慢も限界に達しようとしている。

もうすぐ冬のメルカートが開く。

その時、モラッティとブランカはどんな判断を下すのだろうか。

(記事提供:CALCiO2002)