2/22(水) 11:00
カルチョメルカートの表と裏B
◇ラツィオがさらに譲歩してもCSKAは新たな要求を出しただろう
CSKAの広報部長、セルゲイ・アクシオノフは1月30日に次のようなコメントを発表していた。
「ターレ氏のモスクワ訪問で本田の移籍に関する状況が変わったわけではない。両クラブはまだ合意に達していない。本田を獲得するには1600万ユーロ(約16億円)が必要で、ラツィオがその金額を提示することはほぼ不可能だろう」
アクシオノフは特に悲観的ということではなく、非常に現実的な見方を述べていた。左ひざ半月板の手術からリハビリ中の選手とはいえ、日本代表のスター選手を“安売り”することへの反対意見がクラブ幹部の間で多いことを、彼は知っていたのだろう。
移籍が成立しなかった今、我々はこう考える。
「ラツィオの提示額は低すぎたのではないだろうか?」。
だが、数カ月も戦線離脱している選手に対して、分割払いとはいえ1300万ユーロ(約13億円)を提示したのだから、条件としては非常に良かったはずだ。
現在のメルカート事情を考えれば、CSKAの要求はあまりにも法外だった。結局のところ、CSKAには本田で“商売”をする必要がなかったということだろう。そのために、CSKA首脳陣内部での意見の不一致はいつまでたっても解消しなかったのだ。
31日の19時の移籍期限ぎりぎりまで交渉を続けて、両クラブが合意を見いだす可能性はなかったのか―。
それもなかった。
インターネット会談が決裂した時点で、ラツィオは最後の一日を別の選手の獲得に費やすことを決めたからだ。
ターレは、移籍金の分割払いが問題であるとの意見をこう否定している。
「我々のオファーは、金額も支払い方法も適切だった。もし我々がさらに譲歩しても、CSKA側はまた新たな要求を出してきただろう」
つまり、合意などあり得なかったというわけだ。31日の15時半(イタリア時間)に、CSKAは本田残留を発表したが、その時にはすでに、ラツィオ側は新たなターゲット獲得に懸命になっていた。
ビジャレアルのブラジル人ストライカー、ニウマールの獲得に動くも失敗。結局、移籍期限終了の直前にチェゼーナにレンタル移籍されていたイタリア人MF、アントニオ・カンドレーヴァを獲得した。条件は無償レンタルである(実質的に戦力外だったシモーネ・デル・ネーロとの交換トレード)。
(記事提供:CALCiO2002)