ホームのブラジルに圧倒される内容で0−3と惨敗したコンフェデ杯決勝のスペインだが、国内ではこの敗戦を冷静に捉えた報道が主流だ。決勝翌日の『マルカ』と『アス』の2大スポーツ新聞の見出しは奇しくも「Volveremos(また戻ってくる)」という同じ単語で、来年の本大会でこの決勝の舞台に戻ってくるという前向きな気持ちが根底に流れる紙面構成となっていた。結果が出ない時には贔屓のチームであっても徹底的に叩くスペインメディアがこれだけ温かい目でスペイン代表を見守る裏にはそれだけ“ラ・ロハ”に対する信頼と自信があるわけだが、各紙に目を通すとやはり戦前から報じられていたようにブラジルとのコンディション面の差を理解した記事がほとんどだった。
ただ、今大会を通じてスペイン国内で最も議論されていたのはシャビの低調なパフォーマンスと彼の代役不在について。決勝のスペイン代表で良かった選手を挙げる方が難しいが、スペインサッカーの生命線である中盤ではイニエスタが孤軍奮闘......
【プロフィール】
小澤一郎(おざわ・いちろう)
サッカージャーナリスト(Periodista)。スペイン在住歴5年。主にスポナビ、クリニック、サッカー批評などで執筆中。著書に『スペインサッカーの神髄』(サッカー小僧新書)、『サッカー選手の正しい売り方』(カンゼン)。メルマガ「小澤一郎の『メルマガでしか書けないサッカーの話』」も好評配信中。