ソチ発のニュースが昼夜を問わず押し寄せるなかで、ドイツ・ブンデスリーガから頼もしい話題が届いた。2月9日に再開された2部リーグで、1860ミュンヘンの大迫勇也がデビュー戦でゴールを決めたのだ。
冷静さと抜け目なさが生んだ一発である。味方選手のシュートを、相手GKが弾く。こぼれ球に素早く反応した大迫は、GKの支配下からボールを逃しつつシュート態勢へ持ち込む。DFのブロックに影響されないように、左足のシュートは軌道を浮かせた。
もちろん、彼自身は本能のささやきと身体の反応に従っただけで、一つひとつの動きを確認しながらプレーしたわけではないだろう。
それが、いいのである。
高揚感と緊張感が混ざり合うデビュー戦で、Jリーグと変わらないプレーを見せる。簡単なことではない。自分は何が評価されて海外へ出てきたのか......
【プロフィール】
戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッ チは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。最新著書に『不動の絆』〜ベガルタ仙台と手倉森監督の思い(角川書店)。『戸塚啓のトツカ系サッカー』ライブドアより月500円で配信中!