10試合ノーゴールと言うべきか。それとも、16試合4得点とするべきか。
Jリーグ開幕から2カ月弱が経過しているというのに、柿谷曜一朗にゴールがない。10戦不発である。ただ、ACLでは6戦4発と結果を残している。合計すれば15試合4得点になるものの、リーグ戦無得点のストライカー心理は複雑だろう。居心地の悪い日々を過ごしているのは間違いない。
ストライカーには勢いが必要だ、と言われる。1990年のイタリア・ワールドカップで得点王となったサルバトーレ『トト』スキラッチは、代表での実績ではなくクラブでの得点量産を評価されての選出だった。4年後にフリスト・ストイチコフと得点王を分け合ったオレグ・サレンコも、直前の1993−94シーズンに自己最多のゴールをあげている。彼もまた、代表ではほとんど無印の存在だった。キャリアのピークとW杯が見事に重なり、歴史に名を残したのである。
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【プロフィール】
戸塚啓(とつか・けい)
1968年生まれ。サッカー専門誌を経て、フランス・ワールドカップ後の98年秋からフリーに。ワールドカップは4大会連続で取材。日本代表の国際Aマッ チは91年から取材を続けている。2002年より大宮アルディージャ公式ライターとしても活動。最新著書に『不動の絆』〜ベガルタ仙台と手倉森監督の思い(角川書店)。『戸塚啓のトツカ系サッカー』ライブドアより月500円で配信中!